新紙幣発表タイミングは政権浮揚利用?たまたま? 西田亮介氏「政府発表はデザインされている」

 財務省は9日、20年ぶりに紙幣デザインを刷新することを発表した。1万円札は“日本資本主義の父”と呼ばれる実業家の渋沢栄一、5千円札は女子教育の先駆者で津田塾大学創設者の津田梅子、千円札は近代日本医学の父で細菌学者の北里柴三郎が選ばれた。


 新紙幣の発行が予定されるのは、5年後の2024年(令和6年)。前回、2002年にデザイン刷新が発表され2004年に発行されたことを考えると、今回の発表は早い印象を受ける。その理由について麻生財務大臣は「印刷開始に約2年半かかる。自動販売機等々の準備が2年半で計5年。たまたま元号改正と合わさった」としている。

 この“たまたま”について、東京工業大学准教授の西田亮介氏は「どんなことが政治イベントとしてあるのか、政治ショーなのではないかと疑ってみるといい」と話す。


 「社会はこういったイベントに弱く、新元号発表の時には官邸もInstagramを使ったプロモーションを行っていた。話題はそれ一色になり、メディアの企画や尺がどんどん埋まっていく。夏には衆議院選挙もあり、そうした流れの中での新紙幣発表はたまたまなのかと考えると、あまり報じられたくないニュースを新紙幣の“尺”で押さえたという見方もできる。政府の広報機能は強化されていて、政治的な広報を行う内閣広報室と政府的な広報を行う政府広報室を、内閣広報室が総合的に調整している。あらゆる政治的な発表はそれなりにデザインされていると考えていい」

 そうしたなか、野党が追求しているのが、下関北九州道路の整備をめぐる塚田前国交副大臣の「忖度」発言。石井国交大臣は9日、国会で「行政の公平性に疑念を与えかねない」と陳謝。塚田氏との面会に同席した国交省の池田道路局長は「総理・副総理の地元事業であることを理由に、国で調査することを求められたことはなかった」としている。


 国直轄で調査を行う道路の候補は全国で108路線あるのに対し、今年度の事業として予算が出されたのは下関北九州道路のみ。はたしてこれは“たまたま”なのか。西田氏は「仮に安倍総理の指示だとしても、明確な違法性を問うことは困難だと思う。公共事業をどのように進めるかというのは、道路に限らずひとつの尺度で決められない」と説明する。

 では、2016年3月末に与党有志から提出された、「安倍晋三」の名前を含む要望書を国交省が忖度したのか。石井国交大臣は「総理の指示があったとは思っていない」と述べているが、西田氏は「(指示があったと)口にしなければ検証するのはかなり難しいので、(塚田前国交副大臣の忖度発言は)本当に下品」と指摘。「この問題を徹底的に追求してもいいと思うが、このタイミングで紙幣刷新のニュースに尺が使われることをどう捉えるのかは、それぞれ考える必要がある」とした。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)


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