都内を中心にオシャレなボードゲームカフェが次々とオープンするなど、ボードゲームが密かな盛り上がりを見せている。日本でボードゲームといえば、『人生ゲーム』や『ドンジャラ』などがおなじみだが、ここ最近、ブームになっているボードゲームはこれまで日本であまりなじみのなかった海外製のタイトルばかり。スマートフォンで遊べるアプリゲーム全盛の今、なぜアナログなボードゲームが人気を博しているのだろうか?
自身もコアなボードゲームファンであり、ボードゲームの歴史にも詳しいゲームライターはこう語る。
「あまり知られていませんが、1980年代初頭にはすでに日本でも海外製のボードゲームを紹介する専門誌が創刊されるなど、元々、根強いファンに支えられてきたホビーではあります。それがなぜ、現在のように広く一般に人気が出てきているか。まず、コアなファンとしての視点ですと、80年代から海外のボードゲームに親しんできた層が結構な年齢になり、資金にある程度余裕が出来たことで、友人たちとの社交場としてボードゲームショップやボードゲームカフェを開くようになったことが一因だと思います」
■トレーディングカードゲームの人気は、ボードゲームブームが影響
ゲームライターはこう続ける。「ボードゲーム専門誌は、いつしかテーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)という海外発祥の新しいアナログゲームを中心に扱うようになります。簡単に説明すると、参加者が騎士や魔法使いになりきって遊ぶボードゲームと演劇をミックスしたような遊びです。しかし、なりきり遊びであるTRPGは、恥ずかしがり屋の多い日本人には敷居が高く、ゲーム業界的にはファミコンブームもあって、TRPGはそこまで大きなブームにはなりませんでした」
その後、ボードゲームやTRPGを嗜好するアナログゲーマーの間で人気を博したのがトレーディングカードゲームだという。ゲームライターは「これも元々は海外が発祥のゲームですが、『週刊少年ジャンプ』で連載されていた『遊☆戯☆王』という漫画で扱われたことをきっかけに、アナログゲーマーだけでなく子供たちを中心に日本でも一大ブームを巻き起こします。その結果、全国にカートゲームショップが作られ、カードの販売や店舗での大会が開催されるようになったことで、アナログゲームが広く認知されるようになりました」という。
さらに「ここで、古くからアナログゲームを遊んできたコアなファンと、トレーディングカードゲームを遊び始めた子供が同じゲームで対戦するという面白い構図が生まれます。現在のボードゲームを牽引する大人たちは、ちょうど子供のころにトレーディングカードゲームに触れた世代ですので、元々アナログゲームを大人がプレイすることに理解がある層だと言えますね」と続けた。
■海外製のボードゲームが広く認知されるようになったきっかけ
また、海外製のボードゲームが広く認知されるようになったきっかけとして「ゲームファン以外の視点で考察すると、少し前のブームですが『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキ氏が制作したキャッシュフローゲームのブームも多少なりとも影響しているのではないでしょうか」と説明。
「不動産や株式投資を題材に投資に関する用語も学べるということで、投資家や起業を目指す若者の間でブームとなったキャッシュフローゲームですが、SNSを通して参加者を募り、見ず知らずの大人たちが交流と学習を兼ねてゲームを遊ぶというスタイルは、現在のボードゲームブームの先駆けのように感じます。ボードゲームカフェでボードゲームをプレイする大人の中には、ボードゲームを新たなビジネスパートナーとの出会いの場と考えている層もいるようですし」と語った。
■ボードゲームカフェに女子が集まりはじめている理由
「最近、ボードゲームカフェに増え始めている女性ファンは、ビジネス目的の層に誘われる形で参加している子もいるようですが、他にもテレビや芸能人の影響でボードゲームを始めた子も多いようですね。参加者が、村人と村人になりすました狼に別れ、村人側は誰が狼なのかを会話で探り、狼側は村人側に正体を悟られないように村人を排除していく『人狼ゲーム』はテレビ番組にもなり、海外製のアナログゲームが広く知れ渡るきっかけになりました。他にも伊集院光さんや、『麒麟』の川島明さんといったゲーム好きな芸人さんが、テレビやラジオで芸人仲間とボードゲームを遊んだ話を披露されているのも大きいですね」
テレビや芸能人の影響以外に、ボードゲーム女子が増え始めた理由として宴会や合コン、学校行事などで遊ばれていた、『山手線ゲーム』や『古今東西ゲーム』などのパーティゲームも根底にあるようだ。
「合コンなどで遊ばれていた『山手線ゲーム』や『古今東西ゲーム』、古くは『せんだみつおゲーム』や最近だと『斎藤さんゲーム』といった、いわゆる『芸能人ゲーム』は、今はもう合コン用のゲームというよりも女子中高生が休み時間に遊ぶ定番ゲームになっています。みんなで盛り上がれるこういったゲームに慣れ親しんだ女子は、社会人になった後もパーティゲームとしてのボードゲームに魅力を感じてくれているのではないでしょうか」
■ゲームライターオススメのボードゲーム
「『芸能界ボードゲーム最強決定戦(AbemaTV)』で紹介されたゲームはどれも名作揃いでオススメです。2016年夏に放送された夏の陣でプレイされたゲームの中では、シンプルなルールで奥深い駆け引きが楽しめる『ハゲタカのえじき』がオススメ。2名から6名までが一緒に遊べるゲームで、全員が1から15までの数字が書かれたカードを手に、場に出されるハゲタカのカードを落札していくオークション感覚のゲームです」
「他には、今年の1月に放送さたれ冬の陣でプレイされた『ごきぶりポーカー』もオススメですね。ラジオで伊集院光さんが紹介したことをきっかけにブームとなったゲームですが、手札として配られるゴキブリなどの害虫カードを相手に押しつける際のやりとりが面白いんですよね。
相手に裏返しにした害虫カードを押しつけるとき、そのカードが何のカードなのか宣言しなくてはならないのですが、ここはウソをついても良いわけです。トランプのダウトというゲームに似ていますね。相手は押しつけられたカードが宣言通りだと思えば『本当です』と答え、ウソだと思えば『ウソです』と答えるわけですが、ここでウソか本当か当てられてしまうと押しつけは失敗となります。最終的に手元におなじ害虫のカードが4枚貯まってしまうと負けになりゲームから脱落してしまいます。カードに書かれているのがキモカワイイ害虫ばかりなので、女の子もキャーキャー言いながら楽しそうに遊んでますよ」
テレビやネット動画で扱われることも多くなり、ボードゲームカフェも増え続ける現在、まだ海外製のボードゲームに触れたことがないというボードゲーム未経験者はこの機会にボードゲームに触れてみてはいかがだろうか。
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